弁護士法人FAS淀屋橋総合法律事務所

ニュースファイル ◎マスコミ報道、コメント

当事務所に所属する弁護士が関わった事件の事例報告や、マスコミ等で報道された記事を紹介します。

●玄海原発仮処分却下(佐賀地裁平成30年3月20日決定)についての斎藤浩のコメント


■玄海仮処分 失望と評価 差し止め却下 「思考停止」「町民安堵」 (読売新聞 2018年3月21日西部朝刊)


九州電力玄海原子力発電所3、4号機(佐賀県玄海町)の再稼働を巡り、差し止めを求めた仮処分申し立てが佐賀地裁で退けられた市民団体は20日、司法への失望をあらわにした。これに対し、立地自治体の玄海町や、23日に3号機の再稼働を計画する九電の関係者は決定を評価した。〈本文記事1面〉

「(決定は)従来の考え方をそのまま踏襲している。原発の危険性の問題は国民も知っている。再生可能エネルギーが普及すれば、原発ほど高いものはない」

佐賀市内で記者会見した申立人の一人、長谷川照・元佐賀大学長はぶぜんとした表情で訴えた。その後、改めて会見に臨んだ市民団体の弁護団からも、「我々の主張は合理性がないとして切り捨てられている」「(裁判所は)思考が止まっている」などと落胆や批判の声が相次いだ。

一方、早期再稼働を求める玄海町の岸本英雄町長は「破局的噴火を理由に仮処分が認められれば、国内に原発は造れなくなる。妥当な決定に多くの町民が安堵(あんど)しているのではないか」と述べた。そのうえで、3号機の再稼働について、「淡々と準備をしてほしい」と求めた。

九電も佐賀市内で会見し、金田薫司・地域共生本部事業法務グループ長は「当社の考え方を全面的に是認してもらえた」と評価。玄海原発のほか、川内原発(鹿児島県)についても差し止め訴訟を抱えているが、「引き続き、安全への理解を求めていく」と話した。

諸葛宗男・元東京大特任教授(原子力安全規制)の話「原子炉設置許可の処分取り消しの可否が争われた1992年の四国電力伊方原発訴訟の最高裁判決が示した『安全性の判断は行政に委ねられる』との考え方に沿った決定だ。(原発への)火山の噴火リスクには様々な解釈や意見があるが、それを科学的に審査できる機関は原子力規制委員会だけで、その判断は尊重されるべきだ」

弁護士の斎藤浩・立命館大客員教授(行政法)の話
「新規制基準や火山ガイドの不十分さを指摘しておらず、社会通念に従って安全だという信頼の表明だけが目につく。地震、火山大国における原発の立地がいかにあるべきかについて、真摯(しんし)な検討を欠く残念な決定だ」

 図=主な原発運転差し止め仮処分裁判
 写真=記者会見で質問に答える長谷川照・元佐賀大学長(20日午後、佐賀市で)=中司雅信撮影



●伊方原発に停止を命じた広島高裁平成29年12月13日決定に対し、朝日新聞から求められた斎藤浩のコメント (朝日新聞平成29年12月14日朝刊)


■訴訟 三権分立の働き示す 立命館大法科大学院客員教授の斎藤浩弁護士(大阪弁護士会)の話

裁判所が原子力規制委員会の判断の誤りを指摘し、三権分立の本来の働きを示した重みのある決定だ。規制委が基準に適合していると判断すれば安全であり、民事訴訟で原発を止めることはできないという、一部の声に対する理論的な応答といえる。福島第一原発事故の被害を目の当たりにしながら、行政の判断を追認する司法判断が続いてきたが、裁判官が人生を懸けてなした素晴らしい決定だ。運転を差し止める初の高裁判断という面でも意義は大きい。


●国の年金減額訴訟移送申し立てについての斎藤浩のコメント(2015(平成27)年12月18日信濃毎日新聞)

 各地の年金減額訴訟で、国側が東京地裁などへの裁判の移送を求めたことについて、県内の原告らからは「裁判所の数を減らして敗訴の可能性を少なくする戦略ではないか」との見方も出ている。一方で、国が認識不足を認めた行政事件訴訟法について、訴える住民側の利便性を高める改正が必要だとする声もある。
 同法によると、行政による処分の取り消しを求める訴訟は、処分を決めた行政庁や、その処理に関与した「下級行政機関」の所在地を管轄する地裁に提訴できる。国が相手の場合は、原告の住居地を管轄する高裁と同じ場所にある地裁「特定管轄裁判所」にも提訴できるとも規定。長野県民は東京地裁となる。
 県内の原告は今回、日本年金機構長野事務センター(長野市)や各年金事務所が下級行政機関に当たるとし、長野地裁に提訴した。
 これに対し、裁判の移送を申し立てた国側は、同機構が年金減額には実質的に関与しておらず、下級行政機関には当たらない、と主張。長野地裁の裁判を東京地裁に移送するよう求めた。
 日弁連行政訴訟センター事務局長や立命館大法科大学院教授を務める斎藤浩弁護士(大阪市)は「原告と行政の力関係には大きな差がある。裁判を受ける権利を保障するため、原告の居住地で提訴できるようにするべきだ」と指摘。行政事件訴訟法の改正が必要だと指摘する。その上で、各地の年金減額訴訟について「処分取り消しではなく、確定した減額分の支払いを求める『給付訴訟』に変更すれば、地元の裁判所で続けられる」と指摘。


●[論点]行政不服審査法 改正案 「国民救済拡充」へ一歩 斎藤浩氏(讀賣新聞朝刊 2014.04.25)

社会生活を送る中で、行政に対して不服のある人が救済を求める場合、裁判所に行政訴訟を起こすことももちろん可能だが、行政に対して直接、不服審査を求めることもできる。
しかし、行政不服審査は、国民の権利を守る制度として十分に機能しているとは言い難い。手続きを定める「行政不服審査法」(行服法)も1962年に制定されてから半世紀以上、大きな改正が行われたことはなかった。
政府はようやく、今国会に本格的な改正案を提出した。これを機に、広く関心を持ってもらいたい。
国の研究会がまとめた報告書によれば、行政不服審査請求の救済率(不服が認められた割合)は、国の労災関係が17・7%、社会保険関係が10・4%、都道府県関係で2・1%、政令指定都市関係で1・0%だ。この数字は、私が直接調査した米国、韓国、台湾と比べても極めて低い。例えば韓国では国レベルの救済率は38・4%(2007年)である。なお、同じ研究会報告によると、日本でも行政裁判では19%が救済されている。
行政不服審査は、不服を行政内部で解決しようとする制度だ。よって、申し立てる側から見れば「同じ穴のムジナ」による審査であり、救済は期待できないのは無理からぬところだが、外国の救済率と比較してもうなずける。
こうした状況を少しでも改善しようというのが改正法案の目的だ。
ポイントは三つ。「使いやすさの向上」「公正性の向上」「国民の救済手段の拡充」である。
まず、行政処分に対して不服申し立てができる期間を、これまでの処分後60日から3か月に延ばす。不服申し立ての手続きも簡素化し、裁判所に救済を求めたい場合はそれも選択できるなど、使いやすい制度にする。次に、審理手続きは行政処分に関与していない職員(審理員)が担当し、有識者からなる第三者機関(行政不服審査会)も関与させるなどして、公正性を担保する。
さらに「行政手続法」も同時改正し、国民が行政の法令違反を発見した場合に是正を求めたり、法律の要件に適合しない行政指導について再考を求めたりすることを可能にする。
まずは一歩前進と評価したい。
ただし、今回の改正案は、日本弁護士連合会が主張してきた内容と比べると、極めて初歩的な改善に過ぎない。日弁連は、先進的なアメリカ、韓国などの制度を参考に、行政段階の審査機関でありながら強力な独立性と実効性を有する「行政審査院」の創設を提唱している。行政審査院は中央と都道府県に置き、審理官は公法関係の学者や弁護士を中心に任命する。審査院事務局の人材は民間から募集し、なるべく公務員を充てない--といった概要だ。法科大学院修了者の活用にも資するだろう。
今国会で行服法改正案を確実に成立させ、その先の議論に発展させたい。そのことが、行政全体に対する信頼感、安心感にもつながるのではないか。

◇さいとう・ひろし 弁護士、立命館大学法科大学院教授(行政法)。日本弁護士連合会の行政訴訟センター委員長などを務めた。


●山形大生死亡訴訟についての斎藤浩のコメント(河北新報 2013.10.7)

[119番山形大生死亡訴訟]


山形大理学部2年大久保祐映さん=当時(19)=の母親が昨年6月に起こした。訴えによると、大久保さんは2011年10月31日、山形市内の自宅アパートから119番して救急車を要請。市消防本部の通信員は自力で病院に行けると判断し、救急車を出動させなかった。大久保さんは9日後、自宅で遺体で発見された。

◎立命館大法科大学院教授、斎藤浩さんに聞く/注意義務の範囲焦点

大久保祐映さんの死をめぐる訴訟の特徴とポイントはどこにあるのか。行政訴訟に詳しい日本弁護士連合会行政訴訟センター事務局長で、立命館大法科大学院教授の斎藤浩弁護士に聞いた。

山形地裁で係争中の損害賠償請求訴訟は、複雑な事案ではない。京都地裁の類似判例がある。119番通報段階で、通信員に注意義務が課されるとの論理の枠組みは、山形地裁も参考にするだろう。問題は今回の事案でどの範囲まで注意義務が及ぶかだ。
最大の証拠は、録音された119番通報の音声だ。裁判官が、音声をどうみるかで決まる。大久保さんは「救急車じゃなくて、タクシーとかで行きますか」との通信員の問いに、「タクシーの番号が分かれば自分で行けると思います」と答えている。ここで出動要請は撤回され消防に注意義務はなくなったとみるか、大久保さんはもうろうとした意識の中で誘導されたとみるか。裁判官の心証によって決まる。
もう一つのポイントは、大久保さんの死因に関する医学所見だ。死亡と救急車の不出動との因果関係を考える際、なぜ大久保さんが死亡したのか病名をはっきりさせる必要がある。原告側は、ウイルス性心筋炎が死因であると主張する内容の都内の医師の意見書を提出したようだが、死因に関する証拠は多くあるほどいい。
今回の事案は、非常に意味のある訴訟だ。
1人暮らしの高齢者が近所で孤立し、周りに頼れず、迷いながら119番する謙抑的な風潮がある。一方、タクシー代わりに使う風潮もある。その中で国や自治体には、本当に救急要請をしている国民に手が届かない事態を防ぐ義務がある。
しかし現在、119番受理時のガイドラインはない。欠陥と呼んでもいいだろう。そこに一石を投じる大きな案件だ。

<さいとう・ひろし>1945年岡山県生まれ。京都大卒。弁護士。日本弁護士連合会行政訴訟センター事務局長。行政関係事件専門弁護士ネットワーク代表理事。著書に「行政訴訟の実務と理論」(三省堂)など。


●保育所入所拒否への異議申立問題に関する斎藤浩のコメント(毎日新聞 2013.3.17朝刊)

●質問なるほドリ:行政への異議申し立てって? <NEWS NAVIGATOR>

◇「処分は不当」書面で訴え 認められなくても反省促す効果

なるほドリ 認可保育所(にんかほいくしょ)に子どもを預けられないお母さんたちが、各地で自治体に異議(いぎ)申し立てをしているけれど、どのような制度なの?


記    者 行政が不当、または違法な処分をした場合、不服の申し立てができると定めた行政不服審査法(ぎょうせいふふくしんさほう)に基づく手続きです。
処分があったことを知った日の翌日から60日以内に、処分を出した行政機関へ書面を提出することで申し立てができます。
裁判と違って手続きが簡易で審査が迅速(じんそく)に行われ、手数料もかかりません。
例えば、情報公開請求に対する行政の不開示決定を覆(くつがえ)す手法として活用されています。
今回は認可保育所の入所者を決める自治体の部局から「不承諾(ふしょうだく)通知」を受けたお母さんたちがその部局に申し立ての書類を出しました。
申し立てをする人と子どもの名前、年齢、住所、申し立ての内容や理由などを書くだけでよく、多くのお母さんは申し立ての日に役所に集まり、その場で書類に記入していました。


なるほドリ 申し立てると、行政の処分が変わるのかな。


記    者 あまり期待できないようです。
申し立てを受けた行政は却下(きゃっか)、棄却(ききゃく)、認容(にんよう)のいずれかの判断を出します。
申し立てが要件を満たさないときは却下、申し立てを認めると認容、認めないと棄却になります。
総務省行政管理局(そうむしょうぎょうせいかんりきょく)によると、09年度に地方自治体が処理した異議申し立ては5931件で、認容は496件、棄却は4558件、却下は877件。認容率は8・4%と高くありません。
全体の49・3%は申し立てから3カ月以内に結論が出ました。
制度が形骸化(けいがいか)しているとの批判が多いようです。
日本弁護士連合会行政訴訟センター事務局長の斎藤浩(さいとうひろし)弁護士は「処分を出した行政機関が改めて審査するのだから、覆らない例が多いことは構造的に当たり前だ」と指摘しています。


なるほドリ お母さんたちも認容率の低さを知っているのかな。


記    者 はい。申し立てをしたお母さんたちの一番の願いは認可保育所の申し込みに対して行政が出した不承諾通知を覆すことですが、それだけでありません。
斎藤弁護士は「行政不服審査法を改正しなければならないが、このような方法で行政が反省する機会となることは意義深い」と話しています。
今回は、申し立てをするために役所を訪れたお母さんたちに行政機関の幹部が対応しました。
東京都杉並区は異議申し立てを受け、区長が緊急対策を発表しました。集団で行動すると、インパクトがあります。
役所の窓口で不満を言うよりも行動に手応えを感じている人たちが、少なくないようです。(社会部)


●札幌保健医療大、秋田公立美術大、岡崎女子大の3大学設置不認可についての斎藤浩のコメント(東京新聞等での共同通信配信記事 2012.11.5)

◆「訴訟なら文科省不利」 専門家、省内にも懸念

大学側が「法的手段も検討している」とする新設3大学の不認可問題。専門家からは、行政訴訟に発展した場合「文部科学省は不利」との見方も出ている。文科省内にも「訴訟になると厳しいのでは」との声がある。
大学新設の際は、文科相の諮問機関「大学設置・学校法人審議会」が審査する。教育内容や施設が大学設置基準などに適合しているかが審査の中心。途中で問題点があると分かれば「審査意見」を大学側に通知し、答申までに改善させて認可されるように図る。
最終的に審議会が不認可と判断した例もあるが、有識者が専門的な判断をしていることなどを理由に不服申し立ての制度はない。文科相が答申を覆すことも「想定していなかった」(文科省幹部)というのが実情だ。
今後は、不認可の取り消しを求める行政訴訟や、損害賠償請求の民事訴訟に発展する可能性がある。審査で大学側に法令上の問題はなかったとされ、文科省では「裁判になったら分が悪い」と悲観的な見通しもささやかれている。
行政法に詳しい斎藤浩(さいとう・ひろし)立命館大法科大学院教授は「答申を覆すのなら、法律に基づく明確な理由が必要。それがなければ訴訟で反論が難しい。『文科相が判断すること』という理屈は通らず、田中真紀子文科相の決定は裁量権の逸脱だ」と指摘している。



★ニュースファイルもくじ
◎マスコミ報道、コメント
◎意義ある裁判提訴、成果
◎国会公述、講演
◎著書への評価