ニュースファイル ◎意義ある裁判提訴、成果
当事務所の弁護士の活躍分野のニュースファイルです。
●【勝訴報告】精神保健指定医の指定取消を認めず、医師の権利を守る逆転勝訴 (大阪高等裁判所 令和6(2024)年4月10日判決)
■事案の概要
精神科医であるA先生は、数年前に「精神保健指定医」の資格を申請した際、提出した症例報告(ケースレポート)について「患者との関わりが不十分であり、不正な申請である」とみなされ、厚生労働大臣から指定医の指定取消処分を受けてしまいました。
国側は、診察録にあった「(先生と会うのは)初めてですね」という患者の発言、ケースレポート作成経過への疑義、主治医でなかった点、診療録の記載の少なさなどを主張。第一審ではこの国側の主張が認められ、先生の訴えは棄却されていました。
■裁判所の判断(当事務所の主張が認められたポイント)
大阪高等裁判所は、当事務所の緻密な証拠分析に基づく主張を認め、第一審の判決を覆して「国の処分は違法であり、取り消すべきである」という完全勝訴の判決を言い渡しました。
裁判所が認めた主な理由は以下の通りです:
◆「患者の発言」の真相を解明: 裁判所は、当該患者には重度の記憶障害があったことを認定。診察録の「初めてですね」という言葉は、実際に初対面だったからではなく、記憶障害による症状であったと認め、これを根拠とした国の認定を否定しました。
◆実質的な診療実態の評価: A先生は当時の病院の診療体制の中で、他の医師と協力して継続的に患者の診察に当たっていました。裁判所は「主治医として十分な関わりがあった」と認め、申請に不正はなかったと結論付けました。
◆行政処分の重さへの指摘: 医師にとって指定医資格の取消しは、キャリアを左右する極めて重い処分です。裁判所は、国側が個別の事情を十分に検討せずに行った今回の処分は、裁量権を逸脱した不当なものであると厳しく断じました。
◆ケースレポート作成の疑義:元同僚医師が証人として出廷して疑念を晴らしました。
■弁護士からのコメント
本判決は、診察録の一部のみを切り取った行政側の強引な認定に対し、医療現場の実態と患者様の病状を丁寧に見極めることで、正義を勝ち取った重要な事例です。
当事務所は、医療の専門的な知見と法的な論理を組み合わせ、医師の皆様が誇りを持って診療を続けられるよう、不当な行政処分に対しても最後まで粘り強く闘い抜きます。
指定医資格や医道審議会、行政処分に関するお悩みは、実績のある当事務所にご相談ください。
●【勝訴報告】不十分な審査による個人情報の「不開示処分」を取り消し~保有個人情報一部不開示決定取消
(大津地方裁判所 令和3(2021)年7月29日判決)
■事案の概要
本件は、原告(市民)が市に対し、自身に関する個人情報の開示を求めたところ、市が「DV被害者等への支援措置」の申し出があることなどを理由に、一部の内容を不開示とした事案です。
しかし、市側は開示・不開示を判断するにあたって、本来条例で義務付けられている「開示を必要とする個別の事情」や「開示によって害される利益」を具体的に精査していませんでした。当事務所は、このような行政の安易な不開示判断は、市民の知る権利を保障する個人情報保護条例の趣旨に反すると主張しました。
■裁判所の判断(当事務所の主張が認められたポイント)
大津地方裁判所は、当事務所の主張を全面的に認め、市が行った不開示処分を「違法」として取り消す判決を言い渡しました。
裁判所が認めた主なポイントは以下の通りです:
◆審査義務の懈怠(手抜き): 裁判所は、市が不開示を決定する前に、原告に対して「なぜ開示が必要なのか」を確認したり、開示による具体的な支障を検討したりした形跡がないことを厳しく指摘しました。
◆スピード優先の判断を批判: 市側は「警察への照会回答を待っていたら期限に間に合わなかった」と弁明しましたが、裁判所は「条例には期限延長の規定もあり、回答を待たずに不十分な審査で処分を行ったことは正当化できない」と断じました。
◆手続きの厳格な運用を要求: 行政が個人情報を隠す場合には、単に「支援措置があるから」といった形式的な理由ではなく、実態に即した慎重な判断が必要であることを明確に示しました。
■弁護士からのコメント
行政機関は、時として便宜主義的な判断で情報を隠そうとすることがあります。しかし、個人情報保護条例は市民の大切な権利を守るためのものであり、行政側の都合でその運用をあいまいにすることは許されません。
本判決は、行政に対して「法律や条例に定められた手続きを一つひとつ適正に行うこと」を強く求めた重要な判断です。当事務所は、行政による不当な情報の抱え込みに対しても、法的な専門性を駆使して透明性を確保し、市民の皆様の権利を守るために尽力してまいります。
行政による不開示決定や、個人情報の取り扱いに関するトラブルについては、当事務所にご相談ください。
●【勝訴報告】精神保健指定医の「指定取消処分」を勝ち取った逆転判決 (大阪高等裁判所 令和3(2021)年3月4日)
■事案の概要
この事案は、令和6年の「精神保健指定医の指定取消」に関する別の医師の勝訴判決です。 精神科医である控訴人(A先生)は、数年前に「精神保健指定医」の資格を申請した際、提出したケースレポート(症例報告)の一部に「十分な関わりがなかった」として、厚生労働大臣から指定医の指定取消処分を受けてしまいました。
A先生は、当時の病院の診療体制に基づき、チームの一員として深く診療に関わっていたと考えていましたが、国側は「主治医レベルの関わりがない以上、不正な申請である」として、一律に厳しい処分を下しました。第一審では国側の主張が認められ、先生の訴えは棄却されていました。
■裁判所の判断(当事務所の主張が認められたポイント)
大阪高等裁判所は、当事務所の控訴審での主張を認め、一転して「国の処分は違法であり、取り消すべきである」との逆転勝訴判決を言い渡しました 。
裁判所が認めた主な理由は以下の通りです:
◆「不正の意図」はなかった: A先生は、当時のカンファレンスに毎日参加し、主治医団の一人として一定の関わりを持っていました 。主治医ではない症例を選んだのは、それが治療の成功例として印象深く、指導医の確認も経ていたからであり、不正を働く目的はありませんでした 。
◆実質的な資格は有していた: 先生は当時、他にも十分な関わりのある別症例を担当しており、実質的には指定医としての実力や要件を備えていました 。
◆処分の妥当性: 国側は「関わりの深さ」という一つの側面だけを見て一律に処分を下しましたが、裁判所は「提出時の主観や他の症例の存在など、一切の事情を考慮せずに下した処分は、社会通念に照らして著しく妥当性を欠く(裁量権の逸脱・濫用)」と厳しく断じました 。
■弁護士からのコメント
今回の判決は、行政が個別の事情を顧みず、形式的な基準だけで医師のキャリアに重大な影響を及ぼす処分を行うことに対し、警鐘を鳴らす画期的な内容となりました。
当事務所は、今後も医師の皆様の権利と名誉を守るため、専門的な視点から粘り強い弁護活動を続けてまいります。
本判決の結果についての詳細は、お気軽にお問い合わせください。
●大阪市の不法行為に断! (2017年3月30日大阪地裁第2民事部和解)
此花区西九条に土地と倉庫を所有し、塗料倉庫として賃貸していたAさんは、1997年大阪市から、隣にある此花会館を此花総合センタービルに建て替えるために、他所に移って欲しいと懸命に頼まれ、断り続けていたものの、市政への協力と考え、西淀川区千舟の大阪市の所有地に倉庫を建てさせて、交換約束で借主ごと移転しました。
大阪市は千舟の土地・倉庫を1年ごとに行政財産目的外使用許可という形でAさんに使用させ、交換契約に向け千舟の土地の分筆、地積更正、西九条の土地の測量、境界明示、両土地が財産条例で交換できる価格範囲かを見極める鑑定などを実施していきました。
ところが、2011年市長が代わり、担当者がその激しい市政運営を忖度したのか、大阪市はAさんに千舟の賃料を支払えと言い出し、また1年ごとの使用許可も出ししぶるようになり、ついに2013年度の使用許可を拒否し、此花へ帰れと言い出しました。しかし此花の土地建物は、センタービルが建って車の通行も自由にはできなくなり、帰ることなどできないことは明らかですから、大阪市の方針は大阪市に協力して移転したAさんの財産を奪ってしまう不法行為です。
Aさんは弁護士に頼み、2014年に大阪市を被告として行政財産目的外使用不許可の取消訴訟を起こしましたが、いまひとつうまく進まないので、当事務所に来られました。
斎藤浩弁護士は、取消訴訟に加えて、使用許可の義務付け訴訟、交換契約する地位にあることの確認訴訟を追加し、たたかいました。Aさん側では太田勝義元市会議長が証人に出て、事実を証言してくださいました。
大阪地裁は、いくつかの請求のうち、Aさんに最も有利な交換契約の和解を強力にすすめ、成立させました。Aさんは晴れて、千舟の土地建物の所有権を、使えない西九条の土地建物と交換で得ることができました。
行政が無責任な対応に出た時は、敢然と行政訴訟に訴えることが重要です。
●大阪市に対する行政財産の一時使用許可の不許可への取消しと許可の義務付け事案~1審認諾 (大阪地裁 平成29年(2017)年3月30日)
大阪市は区民ホールを建てるために原告の所有倉庫を他区に土地建物を用意して移転してもらい、毎年移転先の土地建物の使用許可を繰り返し、ホール完成後、相互に土地建物を交換する約束をしていたが、これまでのことを全て覆す市長の登場で、市は以後、使用許可もせず、交換もしないと表明したので提訴。
請求の趣旨は次の通り。
■主位的請求
1 大阪市長が平成26年2月26日付大環境施第229号で原告に対してした大阪市環境局管理の行政財産の使用不許可処分を取り消す。
2 大阪市長は、原告に対し、別紙2物件目録記載1の行政財産の使用許可処分をせよ。
■(予備的請求) 原告が、被告に対し、別紙2物件目録1記載1の土地建物を同目録記載2の土地建物と適正な精算の上で交換する旨の契約を締結するよう請求する権利を有することを確認する。
■和解の大要は次の通り
1 原告は被告に対し、解決金として429万1768円の支払義務あることを認める。
2 原告は、前項に定める429万1768円を、本日、本和解の席上、被告に対し現金で提供し、被告は、同現金を受領した。
3 本和解の成立をもって、原告と被告とは、被告所有の別紙1物件目録記載1の土地及び同目録記載2の建物と、原告所有の同目録3の土地及び同目録記載4の建物を交換する。
4 現状有姿条項
5,6 登記手続条項
7 以下略
●市道認定取請求事件 1審和解 (大阪地裁 2018.2.6)
高槻市に対する市道認定取消し請求の事案(大阪地裁第7民事部、事件番号平成 25 年(行ウ)第 222 号)。
L マンション建設販売会社は、昭和 61 年、マンション募集に際し、原告ら買主に、マンション用地の一部を道路、公園用に高槻市に提供することを約束させる文言のある契約書に署名捺印させていたが、買主の誰一人、その条項が意味することは分からず署名捺印したのであった。公園用地は最初からマンション敷地から省かれていたが、平成 5 年、道路として土地を無償使用させる承諾書を原告管理組合が L 社の言うがままに高槻市に出したことにより、マンションは容積率の足りない建築基準法違反物件となった。そのことが判明したのは平成24 年に駐輪場増設許可が高槻市によって拒否された時であった。原告らは、承諾書を出した時点で、高槻市の建築確認の担当者は直ちに容積率違反を見抜いたはずだとして、次のような請求の趣旨の裁判を起こした。
1 主位的請求
被告は原告らに対し、本件土地を明け渡せ。
2 予備的請求1 次の3請求を選択的併合とする。
① 高槻市長は、平成11年7月16日付でなした高槻市道富田町117号線としての道路認定を取り消せ。
② 高槻市長は、平成11年7月16日付でなした高槻市道富田町117号線としての道路認定を廃止せよ。
③ 高槻市長は、平成11年7月16日付でなした高槻市道富田町117号線としての道路認定を撤回せよ。
3 予備的請求2 次の3請求を選択的併合とする。
① 高槻市長は、平成11年8月2日付でなした高槻市道富田町117号線としての道路供用開始を取り消せ。
② 高槻市長は、平成11年8月2日付でなした高槻市道富田町117号線としての道路供用開始を廃止せよ。
③ 高槻市長は、平成11年8月2日付でなした高槻市道富田町117号線としての道路供用開始を撤回せよ。
4 予備的請求3
原告マンション管理組合が、自転車置き場増設工事に関する建築確認申請をするに際し、本件土地が、本件マンションの容積率算定の基礎となる敷地として扱われる法律的地位にあることを確認する。
■和解期日調書の記載は次の通り。
原告らと被告とは、次のとおり確認する。
(1) 高槻市長は、平成 29 年 11 月 24 日、高槻市道富田町117号線につき、別紙高槻市告示第624号のとおり道路区域を変更した。
(2) 原告 L マンション高槻管理組合訴訟承継人 L マンション高槻管理組合法人は、平成 30 年 3 月 13 日、別紙物件目録記載の土地につき、被告から売買を原因として所有権を取得した。
(3)原告ら 本件訴えを取下げる。
(4)被告 上記訴えの取下げに同意する。
(5)当事者双方 本件訴訟費用は各自の負担とすることを確認する。
●【勝訴報告】大規模開発における住民の「計画を守る権利」を認め、差し戻し勝訴~開発許可処分差止・建築確認処分差止請求控訴事件 (大阪高等裁判所 平成20(2008)年7月31日判決)
大規模な開発計画をめぐり、後からなされた別の開発許可や建築確認に対して、周辺住民(地権者)がその取り消しや差し止めを求めることができる「権利(原告適格)」を認めた重要な勝訴判決です。
■事案の概要
本件は、当初の大きな開発計画(平成7年許可)に基づいて、共同住宅や地区センターなどの建設を予定していた地権者ら(控訴人)が、その計画を無視して後から出された別の開発許可や建築確認に反対した事案です。
第一審の大阪地方裁判所では、「地権者らは開発許可の直接の相手方ではないため、その取り消しを求める権利(原告適格)がない」として、門前払いの判決(却下)を下していました。これに対し、当事務所が代理人となり、「当初の計画を信頼して投資や準備をしてきた住民の利益は法的に守られるべきだ」と主張して控訴しました。
■裁判所の判断(当事務所の主張が認められたポイント)
大阪高等裁判所は、当事務所の主張を全面的に認め、「地権者らには訴える権利がある」として、第一審の不当な判決を取り消し、審理をやり直させる(差し戻す)判決を言い渡しました。
裁判所が認めた主なポイントは以下の通りです:
◆「計画を守る利益」の法的保護: 開発許可は単なる行政の事務的な手続きではなく、それに基づいて土地を有効利用しようとする住民の財産権や個別的利益を保護する趣旨を含んでいると判断されました 。
◆ 事業遂行への支障を認定: 後からの開発(一戸建て住宅建設など)を認めると、当初計画されていた専用水道の設置や緑地の配置が困難になり、住民が多額の余分な費用を強いられるなどの実害が生じると認められました 。
◆ 住民の法的地位の承認: 大規模な共同事業において、計画の根幹を揺るがすような行政処分に対し、住民は「法律上の利益を有する者」として、毅然と異議を唱える資格があることが明確にされました 。
■弁護士からのコメント
開発行政において、周辺住民や既存の地権者は「単なる第三者」として軽視されがちです。しかし、本判決は、長年かけて築き上げてきた街づくりの計画や、それに対する住民の期待を、司法が「法的権利」として正面から受け止めた画期的な事例です。
当事務所は、たとえ第一審で門前払いにあうような困難な状況であっても、緻密な法理を組み立て、依頼者の皆様の大切な財産と住環境を守るために最後まで闘い抜きます。
不当な開発許可や建築確認、街づくりのトラブルでお困りの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
●【勝訴報告】街の緑と環境を守る「緑地協定」の廃止認可を取り消し、住民の権利を保護 (大阪地方裁判所 平成20(2008)年1月30日判決)
■事案の概要
ある住宅地において、良好な景観や住環境を維持するために、住民同士で「敷地内に一定の緑を設ける」という「緑地協定」が結ばれていました。
ところが、一部の土地所有者がこのルールをなくそうとし、行政(市)に対して協定の廃止を申請しました。市がこれを認可したため、緑豊かな環境を守りたいと願う他の住民や法人が、「廃止認可は手続きや内容に不備があり違法である」として、認可の取り消しを求めて提訴した事案です。
■裁判所の判断(当事務所の主張が認められたポイント)
大阪地方裁判所は、当事務所の主張を認め、市が行った廃止認可は違法であるとしてこれを取り消す逆転勝訴判決を言い渡しました。
裁判所が認めた主な理由は以下の通りです:
◆ 廃止手続きの不備: 緑地協定を廃止するには、本来、協定区域内の土地所有者全員の合意が必要です。しかし今回のケースでは、必要な合意形成のプロセスに重大な瑕疵(ミス)があったと認められました。
◆ 行政の判断ミス: 裁判所は、市が廃止を認めるにあたって、住民の権利や良好な住環境への影響を正しく評価していなかったと指摘しました。
◆「事情判決」の否定: 市側は「今さら認可を取り消すと混乱が起きる(事情判決)」と主張しましたが、裁判所は「環境を守る利益は大きく、取り消しても公の利益に著しい障害は生じない」として、毅然と認可を白紙に戻しました。
■弁護士からのコメント
緑地協定」は、そこに住む人々が協力して街の価値を高めていくための大切な約束事です。一度決められたルールが、一部の都合や行政の不適切な判断で簡単に覆されてしまうことは、住民の信頼を裏切るだけでなく、街全体の価値を損なうことにつながります。
当事務所は、地域の環境保護や住民の皆様の権利を守るため、行政の不当な処分に対しても専門的な知見を持って立ち向かいます。
行政処分への不服申し立てや、不動産・環境をめぐるトラブルについては、当事務所までご相談ください。
★ニュースファイルもくじ
◎マスコミ報道、コメント
◎意義ある裁判提訴、成果
◎国会公述、講演
◎著書への評価
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